リアイアを覚悟してからは、あまり記憶がありません
気が付いたら、バイクフィニッシュ
バイク降車
バイクを押しながら、少し駆け出します
さぁ、脚はどうだ?
ぐわぁ
そんな漫画みたいな声を絞り出しました
見事に激痛が
やはり、ここまでか
あわよくばランも継続なんて考えていましたが、甘かったです
バイクを預け、ベンチに腰掛けます
ふぅ~、一呼吸
リタイアするにはちょうどいい場所
仕方ない
来年また頑張ればいいか、来年頑張る力は残っているのか
そんな風に思い巡らせていました
続々と後続の選手がランスタートしていきます
ふぅ~、気持ちよさそうだ
あんな風に走って、ゴールしたかった
恨めしそうに彼らを見送ります
リタイアって味気ないものなんだなー
誰が気にしてくれるわけでもない
誰にも迷惑かからない
寂しい気持ちでした
そんな時
ふと目をやると、左腕に書いた息子の名前が目に入って来たのです
これまた漫画かと思うような展開
そうだ、君はパパがつらい時、応援してくれていた
そうだ、君を思ってここまでやってきたんだ
一生脚が使えなくてもいい
パパは君にかっこいいパパと思ってもらいたいんだ
時計に目をやると、スタートから4時間弱経過
制限時間まであと4時間ある
21kmを4時間、歩いてもなんとかなるさ
力が湧いてきます(実際、力など一切出ていません)
そうだ、僕は息子と一緒なんだ
ベンチから立ち上がり、誘導員に尋ねました
「ランスタートはどこですか?」