【第二章】息子と泣き虫パパ~生き別れの君へ

スイム3k、バイク157kを終えて

最後のフルマラソン42.195k

終始痛みとの戦いでした

痛みのことしか考えていない、いや痛みしか考えられない

無心になりたくてもなれない

ずっと痛みと向き合うことに

息子に

パパは絶対、この痛みを越えて強い人になるからね
そんなヒーロー感を自分に被せてみたり

長かった

一人での戦いは本当に長かった

そして最後の競技場に向かいました

バイクを終え、トランジションエリアへ

バイクシューズを脱ぎ、バイク用ソックスを脱ぎ

自分の足の甲を見て、ゾッとしました
あー、見なければよかった

精神的ダメージ増です

ぷっくり膨れ上がって、赤紫になっています

化膿した箇所が大変になっていることを認識してしまい

さぁ、どうしたものか
リタイアはないのだから、ランに進むしかないのですが

頭を整理し、気持ちを落ち着かせました
深く深く呼吸

化膿箇所に最大限、気を遣いながら、ランソックスを履き、
呻きながら、ランシューズを履きました

うぅ・・・

もう泣きそうでした（笑）

こうしていても始まらない

立ち上がって、ランスタートへ向かいました

いやー、一番気力を必要とした場面でした

精神的に頼るものがない状況

そんな状況でも、男は意地をみせなければなりません

見栄を張って

長い距離を運動していると、ついつい内の声が大きくなってきて、耳を傾けがちです

普段痛まない箇所まで、痛み出し

足の甲なんて、悲鳴をあげています

今まで、どれだけ、息子に助けられてきたことか
お守りである、息子の名前を書いておかなかったことをどんなに後悔したことか

しかし、リタイアの選択肢はありません

自分の力で完遂すると決めたのだから

バイクを終えました

更新遅くなりました
その間、新たなチャレンジをしておりましたので、こちらは別途ご報告します

さて、バイク100kを越えたあたりから、化膿した足の甲の部分が痛み出しました
バイク距離残り60k、その後にフルマラソンです

トラブルはいつものこと

10数時間も体を動かし続けていれば、何かしらトラブルは起きるものです
今までの経験から慣れたものです

人生だって、トラブルはつきものです

問題はそのトラブルを抱えて乗り切れるかどうか

今までは乗り切ってきました
レースの時、必ず息子がそばにいてくれて、勇気付けてくれました

腕に息子の名前を書いて、共に挑んでいました

アイアンマン70.3参戦記⑨～バイクは終えたが

トライアスロンを終えて（息子と共に）

しかし、今回は息子は一緒ではありません

今回、息子の力を借りずに、宮古島トライアスロンを完走してみせる
パパだけの力で、ストロングマン（強い人）になってみせる
そう決意していたからです

腕を見ても、勿論息子の名前はありません

パパはパパだけの力で強い人になってみせる
そう決意して挑みました

今回のチャレンジです

100kを越えた辺りでついにきました

ズキン！

きた・・・
化膿した部分に痛みが・・・

長時間、ペダルを回したことで足が膨張したのでしょう
バイクシューズが腫れ上がっている足の甲を圧迫しています

う、痛い・・・
思わず声がもれました

残り60k、その後ラン42k

乗り越えられるか

まだレースは中盤です

バイクの出足は好調
応援いただける沿道の方々に御礼を告げつつ

コーナーではスピードを落とし慎重に

調子良い時こそ、気を引き締め

風は心地よく
ロケーションは最高

宮古島は何度来ても最高です（2回目ですが・・・

最高のバイクライドも終焉を迎えます

100kを越えた辺りでついにきました

毎回この展開

泳ぎ出しは好調

東南アジア一と言われる宮古島の海
何度泳いでも気持ちいい海です

ニモに出てきそうな熱帯魚？
数メートル先の底までキレイに見通せます

今年は前面からスタートしたため、早々に群集を抜けることができました

波がうねっていましたが、快適に泳ぎます

今年も上位でスイムアップ

泳いでいる最中に、化膿した箇所に貼ったバンドエイドが剥がれたことに気が付きませんでしたが

次はバイクです

レース当日

朝も暗いうちから行動開始です
目覚ましにシャワーを浴びて、朝ごはんを早々に済ませ
レース中のスペシャルドリンクを調合

会場に向かいます

足の化膿は幸いにして、痛みはありませんでした

それが心を落ち着かせてくれました

気休めに、バンドエイドを3枚くらい貼りました
（スイムの途中でビラビラと海の藻屑になりましたが）

腕にナンバリングして、ウエットスーツを着用し、ウィダーインゼリーで事前補給

準備は整いました

さぁ、スタートです

僕はこの瞬間が大好きです

目の前の事態（足の甲の化膿）を理解して、冷静になるのにだいぶ時間を要しました

そして、落ち着いた頃、ホテルで一人、笑ってしまいました
気がおかしくなったのではありません（笑）

うーん、本当に一筋縄ではいかない
簡単にはストロングマンにならせてくれない

そんなことを考えていたら、笑みが自然とこぼれました

大きな怪我や体調を崩すこともなく、一年を過ごしました
それがここにきて、しかもレース前日

人生はかくも面白きかな

やるしかありません
リタイアという選択は持ち合わせてないのだから

落ち着いて布団にもぐりこみ

そしてレース当日を迎えました

朝3時起きで始動！

スイムの試泳も好調、ランも快調、昨年の反省である体幹も慎重に。
レース前日、これでもかくらいの調子でした。

さぁ、後はゆっくり、明日のシミュレーションでもなんて考えつつ

ランの後、ホテルに帰って、汗かいたウェアを着替えて
ソックスを脱ごうとした時です

右足の甲が盛り上がっていました
あれ？こんなところに筋肉ついていたっけ？
そんな気軽な気持ちでした

軽く触れると

痛っ！

え？（鳩が豆鉄砲喰らった

靴下を脱いでビックリ！
親指の付け根の部分がもっこりと盛り上がっていました

え？（一瞬気が遠のきました

なんでこんなんなってるの？
朝はなんともなかったのに
事実を理解するのに数秒（体感的には数分）かかりました

宮古島初日に試泳で切った足を放置していた為、化膿したようです
今日の試泳も潮が染みて良くなかったのでしょう

※お見苦しいので写真は自主規制※

すぐに真水で流しました（時すでに遅し
明日どうしよ
さらに化膿が悪化していたら
バイクは大丈夫？ランは大丈夫？そもそもスイムできるの？
リスクがぐるぐると頭を駆け巡ります

ストロングマン（強い人）になるのは、簡単なことではない、そんなことを再度痛感しました

何が起きるかわからないトライアスロン